SurePath<sup>®</sup> 液状化検体を併用した耳下腺原発粘表皮癌の穿刺吸引細胞診の 1 例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of mucoepidermoid carcinoma of the parotid gland diagnosed by fine-needle aspiration cytology using SurePath<sup>®</sup> liquid-based sampling

抄録

<p>背景:粘表皮癌は代表的な唾液腺悪性腫瘍であり,60~70%の症例においてCRTC1/CRTC3-MAML2 融合遺伝子を有することが知られている.今回われわれは,液状化検体細胞診(LBC)の残余検体で FISH 解析を施行し,術前に粘表皮癌と診断しえた症例を経験したので報告する.</p><p>症例:10 歳代,男性は左耳下部の腫瘤を自覚した.超音波検査にて左耳下腺に多房性囊胞を伴う腫瘤が認められ,穿刺吸引細胞診が施行された.細胞像は粘液とリンパ球を背景に,異型に乏しい粘液細胞と中間細胞の混在した集塊がみられた.細胞形態より粘表皮癌が疑われたため,LBC 残余検体を用いたセルブロック標本による MAML2 FISH 検査が施行された.その結果,腫瘍細胞に split signal(48%)が確認され,術前報告は唾液腺細胞診ミラノシステムに従い,悪性(malignant),低悪性度粘表皮癌と診断した.切除検体でも低悪性粘表皮癌と診断した.</p><p>結論:若年者の低悪性粘表皮癌症例の多くは,細胞所見のみで正確な悪性腫瘍の診断は困難かもしれない.補助検査は唾液腺腫瘍の組織型推定をさらに進め,唾液腺ミラノシステムの精度を高めるのに役立つ.</p>

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参考文献 (10)*注記

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