母子分離後に解熱した心因性発熱の 1 女子例

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抄録

症例は母子家庭の 14 歳の女子,発熱 18 日目に入院した。間欠熱を呈したが,血液検査で炎症反応は認めなかった。解熱剤の効果はなく,熱源精査のために追加した骨髄穿刺や画像検査でも異常は認めなかった。発熱は持続したが,重症感はなく,心因性発熱が疑われため発熱 46 日目に退院した。COVID-19流行期であり,発熱に敏感な社会情勢であったが,ソーシャルワーカー,児童相談所,児の通う中学校教諭とカンファレンスで情報共有を行い,登校をできるように理解,支援を求めた。患児との面接を繰り返す中で,母子関係が児のストレッサーになっていると判断し,児童相談所と連携し,母子の了承のうえ養護施設に一時保護した。入所 3 日目(発症から約 6 カ月後)に解熱し,以降は明らかな発熱はなく,心因性発熱と最終診断した。心因性発熱は不明熱の鑑別疾患になり,不適切な親子関係は心因性発熱の原因になりうることを認識する必要がある。

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