術前飲水量と体組成がビーチチェア位前後の血圧変動に与える影響

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抄録

本研究の目的は,術前の経口飲水量と体組成成分がビーチチェア位前後の血圧変動に影響を与えるかどうかを明らかにすることである.<BR> 2021年1~12月に全身麻酔下,ビーチチェア位で鏡視下腱板修復術を受けた平均年齢65.7(36~89)歳の100例を対象とした.飲水内容は自己記入式調査とし,入院時と手術室入室時に生体電気インピーダンス法により,体水分量,体水分率,筋肉量,脂肪量,体脂肪率を計測した.血圧は動脈ラインを挿入し動脈圧を測定し,平均動脈圧(MAP)を求めた.手術当日の飲水量500mLを基準に2群に分け,体組成成分との関係について統計学的に解析した.<BR> 飲水量500mL以上群、500mL未満群ともに,ビーチチェア位直後にMAPは有意に低下した.ビーチチェア位直後のMAPは,500mL以上群64.9(SD15.0)mmHgに比べ500mL未満群58.2(SD13.2)mmHgで,500mL未満群で有意に低値であった.手術室入室時の体水分量および体水分率に有意差は認めなかった.飲水量500mL以上群では500mL未満群に比べ,ビーチチェア位直後のMAPの低下が起こりにくく,術前の飲水量の重要性が示唆された.

収録刊行物

  • 肩関節

    肩関節 47 (2), 390-394, 2023

    日本肩関節学会

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