ダム湖におけるChlorophyll-<i>a</i>量への温暖化影響:経験モデルによる解析

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タイトル別名
  • Warming and chlorophyll-<i>a</i> abundance in reservoirs: empirical analysis using a latitudinal gradient in Japan
  • ダム湖におけるChlorophyll-a量への温暖化影響 : 経験モデルによる解析
  • ダムコ ニ オケル Chlorophyll-aリョウ エ ノ オンダンカ エイキョウ : ケイケン モデル ニ ヨル カイセキ

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抄録

<p> 藻類現存量の指標であるクロロフィルa量は重要な水質要因である。そこで,1990年から2010年にかけて水辺の国勢調査で測定された日本各地に点在する91ダム湖のクロロフィルa量(以下chl-a量)を解析した。その結果,chl-a量は北から南のダム湖に向かって増加し,温量指数との間に有意な正の相関が見られた。この結果をもとに,MRI-CGCM3.0気候モデルを用い,温室効果ガス高排出シナリオRCP8.5下での各ダム湖における将来予測を行ったところ,世紀末までにchl-a量は最大2.2倍,平均で1.5倍増加すると推定された。そこで,chl-a量に対する温度上昇の直接的な影響と集水域の土地利用・被覆の変化を介した間接的な影響を調べた。その結果,間接効果を加味すると,chl-a量に対する温量指数の直接効果は有意とならなかった。この結果は,ダム湖への温暖化影響は,温度上昇による直接的なものではなく,集水域の土地利用や被覆の変化に起因することを示唆している。これら知見から,温暖化に際しては,集水域の土地利用・被覆政策がダム湖の水質保全に特に重要となることを指摘した。</p>

収録刊行物

  • 陸水学雑誌

    陸水学雑誌 84 (3), 187-201, 2023-09-25

    日本陸水学会

参考文献 (31)*注記

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