歯頸部歯根破折を生じた下顎左側側切歯の17年後の経過を評価した1例

DOI
  • 金井 恵未
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科小児歯科学・障害者歯科学分野
  • 宮新 美智世
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科小児歯科学・障害者歯科学分野 はなここどもの歯のクリニック
  • 上原 智己
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科小児歯科学・障害者歯科学分野 上藤沢歯科
  • 和田 奏絵
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科小児歯科学・障害者歯科学分野
  • 大石 敦之
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科小児歯科学・障害者歯科学分野
  • 長弘 茂樹
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科小児歯科学・障害者歯科学分野
  • 柿野 聡子
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科小児歯科学・障害者歯科学分野
  • 岩本 勉
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科小児歯科学・障害者歯科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Reevaluation of Cervical Root Fracture and Crown-root Fracture 17 Years Later

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抄録

<p>外傷により受ける損傷のうち歯根破折は,歯の硬組織のみならず歯髄,歯根膜,歯槽骨にも多様な損傷が生じ,特に歯頸部歯根破折は保存困難となる症例もまれではない。歯根破折歯の保存の可能性を高めることは,健全な永久歯列形成にとって重要な意義がある。われわれは,外傷により歯頸部に複数の歯根破折が生じ,偏位と動揺が認められた症例の17年後の経過を評価したのでその概要を報告する。</p><p>患児は初診時年齢11歳7か月の男児で,転倒し下顎オトガイ部を下から強打した際に生じた歯の動揺を主訴に当科を受診した。2は動揺と打診痛を認め,デンタルエックス線画像にて歯頸部付近に複数の破折線を認めた。即日に当該歯の整復固定を行い,口腔衛生指導を徹底し管理を行った結果,破折部のエックス線不透過性が高まり安定した経過を辿った。初診から約5年11か月間管理を行ったが,海外生活のため中断となった。しかし,その約12年後に当科を再受診したため,受傷歯の再評価を行ったところ,同歯は生活歯であり,かつ正常な歯周組織および生理的動揺度を維持していた。本症例の長期間の保存を可能にした要素は,長期にわたる口腔衛生管理だけでなく,咬合や歯周組織の健全性を阻害しない範囲での再破折予防策として,固定を成長発育に応じて適用している点であったと評価した。</p>

収録刊行物

  • 小児歯科学雑誌

    小児歯科学雑誌 60 (3), 141-147, 2022-11-25

    一般財団法人 日本小児歯科学会

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