序文
抄録
<p> 2012年に泌尿器科領域の術式であるロボット支援腹腔鏡下前立腺摘除術 (RARP) が本邦で初めて保険収載されて以来, 日本泌尿器内視鏡学会 (JSE) 総会において, そして日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 (JSER) 総会においても毎回「トラブルシューティング」をテーマにしたシンポジウムが企画されてきました. 「どうせまた同じような内容だろう」とこのような企画から足が遠のいてしまっている会員もいるかもしれません.</p><p> ロボット支援手術のトラブルには, ロボットという機器の特色によるものもあれば, ロボット支援手術が適応される術式固有のものもあります. 前者は先達が後進に継続的に伝承しなければ非常に危険なトラブルを引き起こしますし, 後者は術式が増えるたびに新たに議論を開始しなければその術式の安全が担保されません. このように, 安全やトラブル対処への取り組みに終わりはありません. 一旦立ち止まってしまうと, 時間とともに風化し, やがて脳裏から離れ忘れ去られる運命にあるからです. 事故はそのような時に静かに背後から忍び寄ってくるものです. 「またか!」と思われるくらいにしつこく継続し, 会員のDNAに刷り込まれるくらいでちょうど良いのではと思います.</p><p> さて, 今回のシンポジウムでは4名の先生から, それぞれのテーマに沿ってロボット支援手術のトラブルシューティングを取り上げていただきました. 矢津田先生には, 「トラブル予防のための術前画像評価」をテーマにRARPを例に取って自施設での取り組みをご紹介いただきました. 山﨑先生には, 泌尿器科特有のアプローチである後腹膜アプローチでのRARPやロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術 (RAPN) を多症例施行している立場から「後腹膜アプローチ」というテーマでそのトラブルシューティングの経験を, また日向先生には国産の新規手術支援ロボット「hinotori」をテーマとしてトラブルシューティングにおける「daVinci」との違いと工夫について「開発から臨床実装に至る全行程に関与してきたトップランナー」としての経験をそれぞれお話しいただきました. 絹笠先生には消化器外科医の立場から「他科領域におけるロボット支援手術」をテーマに大腸ロボット支援手術を例として泌尿器科医にも役立つ, そして再認識すべきトラブルシューティングをご紹介いただきました.</p><p> 最後に, 貴重な「教え」を賜りました4名の先生にこの場を借りて厚く御礼申し上げます. 4名の先生の「教え」は皆様の今日からの日常診療に必ず役立つものと確信しております.</p>
収録刊行物
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- Japanese Journal of Endourology and Robotics
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Japanese Journal of Endourology and Robotics 36 (2), 169-169, 2023
一般社団法人 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390298355906442496
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- ISSN
- 2436875X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可