日本人大学生アスリートはどのような場面で心理的安全性を認知しているのか?

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  • 性差による特徴

抄録

<p>近年、アスリートを取り巻く競技環境を整備するうえで、心理的安全性が注目されている。しかし、心理的安全性は、産業組織を中心に発展してきた概念であり、スポーツチームに応用する場合には、アスリート固有の心理的安全性の特徴を明らかにしておく必要がある。そこで、本研究では、大学生アスリートが心理的安全性を認知する場面について、性別毎に検討した。調査は、A大学体育専攻学生を対象とし、大学の運動競技部に所属し、現在も競技を行っているアスリート219名(男性101名、女性118名、Mage19.94±0.76)が分析対象者であった。調査対象者には、Googleフォームを用いて、心理的安全性を認知する場面について自由記述で回答を求めた。分析は、KJ法(川喜田、1970)の手続きのうち、「紙切れづくり」と「グループ編成」を、研究代表者を含む計5名が実施した。</p><p> その結果、男性では、144の有効な回答が得られ、【パフォーマンス評価】【充実した競技環境】【コミュニケーションの質】【組織風土】【情緒的サポート】【チームメイトの存在】【競技外の時間】という7つのカテゴリに統合された。また、女性では、213の有効な回答が得られ、【情緒的サポート】【組織内コミュニケーション】【組織風土】【他者の存在】【充実した競技環境】【パフォーマンス評価】【競技外の時間】という7つのカテゴリに統合された。これらの結果から、【パフォーマンス評価】や【情緒的サポート】など、男女で類似した特徴を示したカテゴリが見受けられた。一方、心理的安全性を感じるうえで、男性は、競技パフォーマンスに関する内容を認知する傾向にあるが、女性は、他者とのつながりを認知する傾向にあることも示された。したがって、今後の研究では、性別という変数を考慮しながら、大学生におけるスポーツチームの心理的安全性を取り巻く要因について検討することが求められるだろう。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390298355906584832
  • DOI
    10.20693/jspehssconf.73.0_266
  • ISSN
    24367257
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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