鉄棒の懸垂振動における「握り方」の技術に関する発生運動学的考察

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抄録

<p>鉄棒運動の技は、大きく「懸垂系」と「支持系」の技に分けられる(金子、1974)。「懸垂系」の技の発展には「懸垂振動の技術」が不可欠であるが、その技術を支える下位技術である「握り方」の技術を忘れてはならない。金子は、「握り方」の技術について、「握り固定の技術」と「握りなおしの技術」の二つを挙げている。懸垂振動を連続・発展させるためには、「懸垂振動の技術」「握り方の技術」が不可欠であり、この技術を欠落させてしまうことで、懸垂振動の振幅を増大させた際に、重大な事故につながりかねない。金子(1984)は、握り方の技術について「「握り固定の技術」は、手首の屈曲状態を固定する技術のことであり、「握りなおしの技術」は、往復の振動を行う際、振れもどりの最終局面でいったん握りを浮かせて再び握る、振幅の前後が切り替わるきっかけをつくるものである」と述べている。つまり、順手握りの場合には、身体が鉄棒の後ろに振れた際に、再び握りなおすことによって、その振動を連続させることができる。また、その握り直しを効果的に行うためには握り固定の技術が必須となる。この握り固定の技術がなされていない場合には、振れ戻りの際に、手がバーから外れてしまい、落下の危険性がある。握り直しの技術と共に、握り固定の技術の習得はやはり不可欠のものとなろう。</p><p> 本発表では、金子の発生運動学の視点から地平論的構造分析によって、「握り固定の技術」に内包されているコツ情報を明らかにする。筆者自身の懸垂振動の受動的背景に沈んでしまっている握り固定の技術のコツ情報を明らかにすることで、懸垂振動になじみのない学習者たちが懸垂振動技を発展させていく際に、助力となる資料を提供したい。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390298355906735104
  • DOI
    10.20693/jspehssconf.73.0_547
  • ISSN
    24367257
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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