ブドウ園における土壌呼吸の日変化ならびに季節変化とその温度ならびに降水に対する依存性

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  • Diurnal and seasonal changes in soil respiration in a Japanese grapevine orchard and their dependence on temperature and rainfall
  • Diurnal and seasonal changes in soil respiration in Japanese grapevine orchard and their dependence on temperature and rainfall

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抄録

土壌温度と降水に対する土壌呼吸の日変化ならびに季節変化の依存性を明らかにするため、甲府盆地のブドウ園において土壌呼吸を測定した。測定にはダイナミック閉鎖チャンバー法を採用し、8チャンネル型土壌ガス自動採取装置(自作)を併用して多点連続測定を行った。日平均土壌呼吸速度は、秋期に2.6、冬期に0.9、春期に3.8、夏期に5.3 g CO2 m-2 d-1 であった。夏期の土壌呼吸は土壌水分にかかわらず、土壌温度(地表温、5cm深温度ともに)の指数関数として近似された。春期に土壌が比較的乾燥した期間を除き、秋期、冬期および春期の土壌呼吸は地表温と有意な相関を示さなかった。土壌呼吸と5cm深温度の相関は冬期に有意であったが、秋期と春期には有意ではなかった。秋期と春期のうち降雨時(6-12時間で4.5 mm程度)には、降雨前の同じ温度域と比べて土壌呼吸が高くなるバースト現象を示し、土壌呼吸-地表温は有意な相関を示さなかった。この降雨後の土壌呼吸のバースト現象は、降雨終了後およそ12時間で消失した。夏期の多雨時(12時間で57mm)には土壌呼吸のバースト現象が観察されなかったことから、そのバースト現象は少雨によって引き起こされる可能性が示唆された。土壌呼吸のQ10は、夏期には地表温より5cm深温度の方が高かったが、他の季節には土壌深度による違いは認められなかった。本ブドウ園の年間土壌呼吸速度の推定値は349.4 g C m-2 y-1 と他の農地生態系と比べて3/4から1/2程度と低い。これは、有機質肥料をほとんど施用しない本ブドウ園の栽培様式に依存して土壌有機物含量が低いことに起因すると考えられる。

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参考文献 (39)*注記

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