特徴的な画像所見により診断に至った自己免疫性グリア線維性酸性蛋白アストロサイトパチーの小児例

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  • Autoimmune glial fibrillary acidic protein astrocytopathy in children diagnosed by characteristic imaging findings

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抄録

<p> 近年,アストロサイトの細胞骨格内に存在するグリア線維性酸性蛋白質(glial fibrillary acidic protein;GFAP)への抗体に関連する脳炎が新たな疾患概念として提唱された.亜急性の経過の髄膜脳炎・髄膜脳脊髄炎と特徴的な画像所見を呈するが,多くは成人例である.近年小児例の報告が海外で散見され始めたが,本邦での報告は本症例を除いて1例のみである.症例は5歳8か月の男児.既往歴はなし.遷延する発熱の後,髄膜刺激症状,意識障害を呈した.髄液細胞数の増多を認めるも,中枢神経感染症は否定的であった.炎症性脱髄疾患を疑い,ステロイドパルス療法を開始し,治療後から意識障害は改善した.MRIの拡散強調画像で両側脳室周囲白質と脳梁に点状および線状の高信号を認め,髄液抗GFAP抗体陽性より,自己免疫性GFAPアストロサイトパチーと診断した.血清抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白抗体と血清抗アクアポリン4抗体は陰性であった.ステロイドパルスは合計3クール行い,後遺症なく退院した.約8か月かけてprednisoloneの内服を漸減終了したが,再発なく経過している.自己免疫性GFAPアストロサイトパチーは本邦でも,医療者によって鑑別されず診断に至っていない症例が多く存在する可能性がある.ステロイド反応性を示す髄膜脳炎・髄膜脳脊髄炎の場合や特徴的な画像所見を呈する中枢性炎症性疾患の場合,小児においても本疾患を疑う必要がある.</p>

収録刊行物

  • 脳と発達

    脳と発達 55 (6), 438-442, 2023

    一般社団法人 日本小児神経学会

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