金属アレルギー患者に発症したステント留置後左鎖骨下動脈および腹部大動脈感染性仮性動脈瘤の1例

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タイトル別名
  • A Case of Infectious Pseudoaneurysms of the Left Subclavian Artery and Abdominal Aorta in a Patient with a Metal Allergy

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抄録

<p>症例は41歳男性.左第5指の疼痛と冷感を認め,前医で左鎖骨下動脈狭窄症と診断された.金属アレルギーの既往があり,パッチテストでマンガンとクロムに陽性反応を認めた.左鎖骨下動脈にニチノールステントを留置されたが,このとき1本は留置時に脱落したため,腹部大動脈まで誘導されそこに留置された.留置10日後から左肩の疼痛と発熱を認め,2週間症状が継続したため前医を受診した.造影CTでステントを留置した左鎖骨下動脈の瘤形成と脂肪織濃度上昇を認め,腹部大動脈のステント周囲にも脂肪織濃度上昇を認めた.左鎖骨下動脈仮性瘤と診断され,当科紹介となった.手術は胸骨正中切開・人工心肺補助下で左鎖骨下動脈瘤切除術・大動脈-大伏在静脈-左鎖骨下動脈バイパス術・左鎖骨下動脈および腹部大動脈異物除去術を施行した.胸骨閉鎖にはチタン製のワイヤーとプレートを使用した.術後12日目に撮影した造影CTで腹部大動脈に仮性動脈瘤を認め,術後14日目に腹部大動脈人工血管置換術を施行した.その後の経過は良好であり,初回手術の術後27日目に自宅退院した.感染性左鎖骨下動脈瘤は稀な疾患であり,金属アレルギーを合併する本症例はきわめて稀と考えられたため,文献的考察もふまえてここに報告する.</p>

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参考文献 (8)*注記

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