最近の経済構造変化が景気変動にもたらしている影響

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タイトル別名
  • The Impact of Recent Economic Structural Changes on Business Fluctuations

抄録

長期的に見ると、景気のトレンドが低下し、在庫投資や設備投資の変動が小さくなっている。その背景には、経済のサービス化、グローバル化、DX、研究開発投資の拡大などの経済構造の変化がある。こうした中で、第 16 循環の山(2018 年 10 月)付近においては、景気動向指数(一致指数)と実質GDPの動きに乖離が見られたが、その要因としては、外需の減少ペースが景気を一気に冷え込ませるような急激なものではなかったことが大きい。加えて、労働市場では、人口減少下で女性や高齢者を中心に労働市場に参入する人が増え、雇用所得環境を下支えしていた。コロナショック後は、賃上げのモメンタムが強まっている。今後、労働市場の構造変化がどのように進むのか、それが景気循環にどのような影響を与えるのか、注視していく必要がある。 こうした景気循環の特徴の変化やその背景にある経済構造の変化を踏まえると、景気循環を適切に捉えるためには、第一に、景気循環の転換点を敏感に捉える必要があることに変わりはないが、一方で、第二に、生産に過度に重点を置かず、より幅広い指標を観察すること、第三に、経済の全体的な動向を捉えるという観点から、実質GDPの動向にも留意すること、が必要となろう。

収録刊行物

  • 経済分析

    経済分析 208 (0), 25-49, 2023-10-25

    内閣府経済社会総合研究所

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390298444167575936
  • DOI
    10.60294/keizaibunseki.208.0_25
  • ISSN
    27589900
    04534727
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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