耳下腺粘表皮癌を偶発的に合併した顎下腺oncocytomaの1例

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  • A CASE OF SUBMANDIBULAR GLAND ONCOCYTOMA WITH ACCIDENTAL PAROTID MUCOEPIDERMOID CARCINOMA

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抄録

<p>Oncocytomaは,oncocyteと呼ばれる細胞の腫瘍性増殖と考えられており,正常人の腺組織の導管部,線条部,介在部と線房部に多中心に存在している。</p><p>Oncocytomaが悪性転化するとoncocytic carcinomaと呼ばれるが,その出現頻度は,約16%であると報告されている。治療としては原則的には切除が望ましく,経過観察とした場合でも,腫瘍の悪性転化が疑われた場合には手術加療が必要となる。</p><p>症例は86歳,女性。左顎下部の腫瘤を主訴に受診し,左顎下腺と耳下腺に腫瘍性病変を認めた。左顎下腺腫瘍に対し全身麻酔下にて左顎下腺腫瘍摘出術を行ったところ,oncocytomaの診断であった。心疾患の既往があり,全身麻酔リスクもあったことから,左耳下腺腫瘍に対しては経過観察としていたが,徐々に増大,疼痛も伴うようになったため5年後に左耳下腺腫瘍摘出術を施行した。病理結果から粘表皮癌と診断され,経過観察の方針としたが,術後1年の時点で再発は認めていない。</p><p>頸部多発腫瘍を認めたとき,その内1つがoncocytomaと診断された症例でも,他の腫瘍は別の組織型や悪性であることも考慮し,早期手術が望ましい。経過観察とする場合でも,悪性の可能性も常に考え,厳重な経過観察が必要である。</p>

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