産科DICの病態生理を紐解く

  • 上谷 遼
    埼玉県立小児医療センター小児救命救急センター

書誌事項

タイトル別名
  • Unraveling the pathophysiology of obstetric DIC

抄録

<p>本邦の妊産婦死亡絶対数は減少し続け,中でも直接産科的死亡の割合が低下してはいるが,世界的に産科DICは増加傾向にある.その基礎疾患は様々で,表現される形式も異なるのが特徴である.HELLP症候群や妊娠高血圧症候群は胎盤形成不全が関与し,高度な血管内皮障害を伴うことで微小血栓形成が亢進,線溶抑制型DICを起こす.特にHELLP症候群では,近年常位胎盤早期剝離と同様,胎盤剝離により組織因子が母体循環に侵入することでDICが惹起されるとも考えられている.羊水塞栓症は羊水内の血液凝固促進物質が母体の凝固カスケードに無秩序な活性化を起こし,線溶亢進型DICとなる.他には,産科異常出血において,大量の晶質液投与などを行うと希釈性凝固障害を起こし,同じく線溶亢進型DICとなる.早期診断のため暫定版DIC診断基準が新たに策定・公開され,今後の普及が待たれる.そして各病態に対してどのようなアプローチをしていくのか研究を重ねていく必要がある.</p>

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参考文献 (47)*注記

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