アルボウイルス感染症の国内での発生リスク : ウイルスの侵入・定着から考える

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  • Risk of Outbreak of Arbovirus Infection in Japan

抄録

新型コロナウイルス感染症の流行などを機に,新しく出現した「新輿感染症」や動物とヒトの間で病原体が行き来する「人獣共通感染症」に注目が集まっている。新型コロナウイルス感染症や新型インフルエンザなどのような感染症は,感染者が増加しやすいことからより大きな注目を集める一方で,目下日本国内では,致死率の高い「重症熱性血小板減少症候群」を引き起こすSFTSVの報告(2013年)や,北海道での新規ウイルス「エゾウイルス」の発見,約70年ぶりの「デング熱」の国内感染例(2014年)など,マダニや力といった節足動物が媒介する感染症「アルボウイルス感染症」を巡る甫要な事象も相次いで発生している。これらの感染症は,近年の国境を超えた移動の増加などに起因する国内輸入・定着のリスクやアウトドアブームや野生動物の市街地への出没増加などに起因する流行リスクが十分に考慮.研究される必要がある。本研究では,アルボウイルスの種々のリスクを分析するとともに,それに対する施策を提案した。具体的には,これまで解明されているデータ等を活用して,ウイルスを種ごとに分析し,それらを俯諏し,ウイルスの国内への輸入及び国内流行に関連するデータを整理した。国外ではアルボウイルスの新規発見や流行が相次いでおり,また国境・大陸を超えた流行例も目立つ。アルボウイルスは,媒介する生物(ベクター)が童要な役割を持つことから,ベクターの監視及びコントロールが重要であり,アルボウイルスのほぼ全てが人獣共通感染症であることから,野生動物等を用いたウイルス監視を行うことも可能である。病原体の研究態勢の充実化や十分な周知活動も併せて検討すべきであろう。

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