ロジウムを用いた新中性子捕捉療法の試み—ベータ線に基づく抗腫瘍治療法—

  • 侯 鉉
    東京大学大学院工学系研究科
  • 柳衛 宏宣
    東京大学大学院工学系研究科 新潟薬科大学健康・自立総合研究機構 東京大学医学部附属病院医工連携部
  • 松川 岳久
    順天堂大学医学部衛生学・公衆衛生学講座
  • 久保田 章乃
    順天堂大学医学部衛生学・公衆衛生学講座
  • 楊 代冰
    東京大学大学院工学系研究科
  • 柳川 将志
    帯広畜産大学動物医療センター
  • 山口 治雄
    東京大学医学部附属病院医工連携部
  • 小野 稔
    東京大学医学部附属病院医工連携部
  • Horacio CABRAL
    東京大学大学院工学系研究科
  • 島添 健次
    東京大学大学院工学系研究科
  • 高橋 浩之
    東京大学大学院工学系研究科 東京大学医学部附属病院医工連携部

書誌事項

タイトル別名
  • An Attempt to a New Neutron Capture Therapy Using Rhodium—The Anti-tumor Method Based on Beta Ray
  • An Attempt to a New Neutron Capture Therapy Using Rhodium : The Anti-tumor Method Based on Beta Ray

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抄録

<p>中性子捕捉療法(NCT)は,二次粒子を用いて腫瘍を治療する方法である。ホウ素はすでに臨床でNCTに応用されており,ガドリニウムも注目されている。100%の天然存在度,長飛跡(二次粒子がベータ線),中性子断面積のピーク,および加速器による中性子への適合性などの利点があるため,NCTの要素として新しい元素であるロジウムを試みた。毒性を減らし,腫瘍内蓄積を増やすために,ロジウムを封入したリポソーム(Rh-Lip)を調整した。癌細胞とロジウム溶液のin vitroにおける毒性反応では,ロジウム濃度0.063 mg/mLにまでの希釈おいて,90%の細胞生存率を得た。一方,Rh-Lipとの反応では,ロジウム濃度0.25 mg/mLにおいても90%の細胞生存率を認め,Rh-Lipでは,より高濃度のロジウム原子を封入でき,毒性を減少できる可能性を示した。さらに,in vivoにおける腫瘍内滞留性を検討すると,投与3時間後のロジウム濃度は,Rh-Lipにおいて387.3 ppm,ロジウム溶液において46.6 ppmであり,Rh-Lipの腫瘍内滞留性を示すことができた。中性子照射後,Rh-Lipは腫瘍増殖の抑制と病理学的分析による腫瘍細胞への障害効果を示したため,ロジウムがNCTに有望な元素である可能性を有すると考えられる。</p>

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参考文献 (21)*注記

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