鼠径部切開法における鼠径ヘルニア術後慢性疼痛予防としての術中神経確認励行の検討

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タイトル別名
  • Nerve Anatomy Awareness and Recognition during Surgery for Anterior Inguinal Hernia Repair as a Preventive Measure for Chronic Postoperative Inguinal Pain

抄録

<p>目的:鼠径ヘルニア術後慢性疼痛(chronic postoperative inguinal pain;以下,CPIPと略記)は患者のQOLを損なう重篤な合併症の一つである.当院のアンケート調査ではCPIP発症割合は7.6%で,侵襲的加療が必要な難治例を2.2%に認めた.本研究の目的はガイドラインで推奨される術中神経確認の励行がCPIP発症減少に寄与するか検証することである.方法:疼痛評価は6段階Numerical Rating Scale(以下,NRSと略記);0–5で行い,CPIPは術後3か月目のNRS 3以上と定義した.当科で2016年~2018年に待機的鼠径ヘルニア根治術を受けた198例(207病変)を対象に以下の介入を行った(①手術記録テンプレートを用いた術中神経確認,②術後3か月後の外来受診).術後3か月の外来でアンケートを行い日常生活の疼痛強度を調査した.結果:鼠径部切開法で鼠径ヘルニア根治術を受け術後3か月の外来を受診した105例(108病変)が評価された.66%で3神経全てが同定された.CPIPは2例(1.9%)に認めた.2例の疼痛は経時的に改善した.結語:術中神経確認の励行を行った今回のデータでは,以前のデータからCPIPの発生割合が減少傾向にあった.鼠径部切開法による鼠径ヘルニア根治術では術中神経確認の励行がCPIP発症を軽減する可能性が示唆された.</p>

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参考文献 (17)*注記

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