下肢静脈瘤に対するシアノアクリレート塞栓術において術後圧迫療法はphlebitis発症を抑制する

書誌事項

タイトル別名
  • Post-operative Compression Therapy Could Reduce the Incidence of Phlebitis on Cyanoacrylate Embolization for Varicose Veins

抄録

<p>Cyanoacrylate: CA(シアノアクリレート)塞栓術は,伏在静脈弁の破綻による逆流を消失させることで,下肢静脈瘤の治療を行う.静脈内に注入されたCAは肉芽腫様異物反応を引き起こし,静脈壁の炎症反応から線維化を伴い静脈は漸次,分解吸収に至る.今般のCA塞栓術は,術後圧迫療法は不要とのことであるが,10%程度のphlebitisが報告されている.そこで,筆者らは,術後圧迫療法を継続したところ,phlebitisの発症が,諸家の報告に比べ少なかった.実際の手技は,CAを注入後,伏在静脈直上の皮膚に圧迫圧が約50 mmHgのかかる圧迫枕子をあて,弾性包帯で固定した.翌朝,包帯,枕子を外し,CA注入部位をカバーできる弾性ストッキング着用を昼間,約1カ月励行した.対象症例は,2021年1–12月にCA塞栓術を施行した下肢静脈瘤115例141肢で,(男28 女87例,平均67.5歳),治療部位は大伏在静脈114肢,小伏在静脈27肢である.Phlebitisの発症例はCA注入後2日目に大伏在静脈本幹周囲の皮膚に発赤,腫脹を生じ,アレルギー反応を思わせた3例(2.1%)とCA非注入部の静脈瘤内に血栓性静脈炎を生じた2例(1.4%)であった.(結語)CA治療に伴う術後圧迫療法の併用は,phlebitisの発症頻度を低減することが示唆された.</p>

収録刊行物

  • 静脈学

    静脈学 34 (3), 407-410, 2023-12-28

    日本静脈学会

参考文献 (3)*注記

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