付加体堆積岩からなる大起伏な山地流域の降雨-流出特性

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タイトル別名
  • Rainfall-runoff characteristics of high-relief montmountain watersheds composed of accretionary sedimentary rocks.

抄録

<p>山の多い日本列島で水資源を活用し、山地災害を予防するためには山地での降雨-流出プロセスを理解することが重要である。歴史的な経緯や手法の限界等のために、これまでの多くの研究は小~中起伏山地で行われてきたため、大起伏山地の降雨-流出プロセスについては不明な点が多い。そこで研究レビューと大起伏な秩父山地での観測研究から、大起伏山地での降雨-流出について検討する。レビューから、大起伏であっても、地質や基岩の透水特性、地理的な条件等によって、地下の水移動経路が異なることがわかってきた。また、付加体堆積岩からなる大起伏な秩父山地での観測結果は、基岩の透水性が高いことを示し、小流域で基岩に浸透した雨水が下流の流域で流出する流出経路が卓越していた。例えば0.5km2の小流域では、年間1000mm弱、降雨のおよそ50%が流量観測地点で流出せず、基岩深部へ漏れていたが、この小流域を含む94km2の流域では漏れていた水がほぼ回収されるようであった。また、0.5km2の小流域であっても、河川水は平水時も洪水時も主に基岩からもたらされ、大雨時は基岩のさらに深い部分からの地下水寄与が増加した。このような流域では、これまで一般的と考えられてきた水移動経路、例えば“横方向の早い流れは表土中で生じる”などが当てはまらない。今後も多様な条件下での観測事例を蓄積し、場の条件と降雨-流出プロセスの関係を明らかにする必要がある</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390298668092451328
  • DOI
    10.11520/jshwr.36.0_106
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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