衛星搭載降水レーダ解析による夏季のシベリアにおける降水特性の把握

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  • Summer precipitation characteristics in Siberia analyzed using satellite-borne precipitation radar

抄録

<p>シベリアでは少ない年降水量(250~500 mm/yr)にもかかわらず、北方林が広範に分布し、降水と蒸発散を介した活発な水循環が生じている。降水はシベリアの水循環にとって重要な気象要素であるが、高緯度域の格子点降水データは空間的に疎な雨量計データが基になっており、降水量の時空間変動の詳細は未だによくわかっていない。そこで本研究は、高観測頻度・高空間分解能で高緯度域の降水量や降水システムの立体構造を観測することができる全球降水観測計画(GPM: Global Precipitation Measurement)の二周波降水レーダ(DPR: Dual-frequency Precipitation Radar)データを用いて、夏季のシベリアの降水特性(降水量、降水強度、降水頻度、降雨頂高度、対流性降雨、層状性降雨、等)を明らかにすることを目的とした。本研究は夏季(6 月~8 月)を対象とし、気候値(2014~2022 年の平均値)を作成して解析を行った。その結果、シベリアでは領域(西シベリア、東シベリア、スタノヴォイ山脈)によって降水特性が大きく異なることがわかった。低気圧性循環が卓越する西シベリアとスタノヴォイ山脈では降水量が多く、高気圧性循環が卓越する東シベリアでは相対的に少なかった。3 領域の中で最も降水量が少ない東シベリアでは、降水強度が弱く、降水頻度も低かった。一方、最も降水量が多い西シベリアでは、降水強度が強く、降水頻度も高かった。スタノヴォイ山脈の降水量は、降水強度がそれほど強くなく、高い降水頻度によってもたらされていた。総降水量に対する対流性降雨の割合は、シベリア北部で20%程度であり、ほとんどの降水が層状性降雨によることがわかった。西シベリアとスタノヴォイ山脈では、降水量には大きな差異はないものの、南部ほど対流性降雨の割合が高くなり、降雨頂高度も高くなる傾向があった。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390298668092488960
  • DOI
    10.11520/jshwr.36.0_248
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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