臨床研究における被験者とのコミュニケーションツールの活用について

DOI
  • 橋本 梨央
    東京大学医学部附属病院臨床研究推進センターP1ユニット 東京大学医学部附属病院検査部
  • 芳澤 恵子
    東京大学医学部附属病院臨床研究推進センターP1ユニット 東京大学医学部附属病院看護部
  • 北村 麻美
    東京大学医学部附属病院臨床研究推進センターP1ユニット 東京大学医学部附属病院看護部
  • 野田 理美
    東京大学医学部附属病院臨床研究推進センターP1ユニット 東京大学医学部附属病院検査部
  • 上原 裕香
    東京大学医学部附属病院臨床研究推進センターP1ユニット 東京大学医学部附属病院看護部
  • 柳田 道孝
    東京大学医学部附属病院臨床研究推進センターP1ユニット
  • 遠藤 美代子
    東京大学医学部附属病院臨床研究推進センターP1ユニット 東京大学医学部附属病院看護部
  • 丸山 達也
    東京大学医学部附属病院臨床研究推進センターP1ユニット
  • 森豊 隆志
    東京大学医学部附属病院臨床研究推進センター

抄録

<p>【目的】</p><p>東大病院臨床研究推進センターP1ユニットでは多種多様な臨床研究を実施しており、必要症例数が100例を超えるものもある。それぞれの被験者への連絡はスタッフが電話で行っており、日常業務の中で多くのエフォートを割くことになっている。そこで、多症例の参加を必要とした臨床研究の1つを対象として、全期間でショートメッセージサービス(以下SMS)の一斉送信を利用した被験者への連絡を試験的に実施した。スタッフの業務負担の改善及び被験者における医療機関側との連絡ツールとしての利便性の向上について検討したので報告する。</p><p>【方法】</p><p>SMSを使用し、45歳以上の健常成人男女60名の組み入れが必要な臨床研究について、以下の通り被験者への連絡を実施した。</p><p>・送信用テンプレートの作成</p><p>・事前検診にて、被験者にSMSでの連絡方法について説明</p><p>・規定時間でのメッセージの一斉送信準備</p><p>・管理画面上で添付資料の開封状況により既読を確認</p><p>・送信ができなかった被験者、既読が確認できなかった被験者には、個別に電話にて連絡</p><p>上記に対し、スタッフの業務負担改善の度合いを調べるため、同規模の臨床研究における電話対応等でのスタッフの拘束時間と比較した。</p><p>また、SMSを使用した臨床研究では最終来院時、SMSの使用感に関するアンケートを被験者に実施し、回答内容を集計した。</p><p>【結果・考察】</p><p>同じ人数の被験者に電話で連絡した場合、スタッフ2名体制で半日程度の時間を要するのに対し、SMS送信準備は2時間程度で完了でき、かつ、他業務の隙間時間に準備できるため、時間拘束の面で大きく改善した。一方で、被験者への案内が増えることや、確実な既読確認に時間を要するなど課題もあるが、今後手順を整備し明確化することで改善は可能であると考えられた。</p><p>アンケートでは、回答を得られた56名のうち55名が電話での連絡よりもSMSでの連絡が好ましいと回答し、全体としては好評と判断できた。また、使用するにあたっての不安や気がかりな点の有無を問う設問では、53名がないと答え、抵抗感も少ないことが分かった。</p><p>【結論】</p><p>SMSを用いた連絡方法は、従来の方法と比較してスタッフの業務負担を軽減することができた。また、幅広い年代の被験者が不便を感じることなく利用できたことが明らかとなった。今後も手順などを整備し、他の臨床試験にも応用できるか検討したい。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390298742739234560
  • DOI
    10.50993/jsptsuppl.44.0_1-c-p-e2
  • ISSN
    24365580
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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