Stevens-Johnson症候群および中毒性表皮壊死融解症(SJS/TEN)の全国症例集積ネットワークを用いた患者の臨床的特徴の解析

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抄録

<p>【目的】スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)および中毒性表皮壊死融解症(TEN)は、生命を脅かす重篤な医薬品の副作用である。SJS/TENの発生頻度は稀ではあるが、その特異体質的な発症機序から予測は困難である。我々は、SJS/TENの発症に関連するゲノムバイオマーカーを探索するために、国立医薬品食品衛生研究所を中心とする日本重症副作用研究グループ(JSAR研究グループ)を設立した。2006年から17年間にわたり、厚生労働省、医薬品医療機器総合機構、及び日本製薬団体連合会等の協力の下、全国的な症例集積ネットワークを構築し、SJS/TEN患者の臨床情報と血液試料を収集してきた。本研究は、日本人のSJS/TEN患者を対象として、収集した臨床情報から、臨床症状および後遺症と被疑薬(群)との関連を検討し、被疑薬(群)別のSJS/TENの治療および予後に関する臨床的な傾向を得ることを目的とした。【方法】2006年6月から2023年5月までに、全国症例集積ネットワークを通して登録され、SJSまたはTENと診断された患者の臨床情報(SJS:234例、TEN:114例)を研究対象とした。臨床情報として、患者の背景(年齢、性別、現病歴、原疾患、既往歴)、発症日、被疑薬、併用薬、臨床症状、検査所見、合併症、および転帰等を収集した。本研究は、参加施設の研究倫理審査委員会の承認の下、すべての患者から書面によるインフォームド・コンセントを得て行った。被疑薬(群)ごとのSJS/TENの特性を調べるために、SJSおよびTENの症例数、ならびにSJS/TENの各臨床症状について、特定の被疑薬(群)とそれ以外の被疑薬(群)で比較した。統計学的な解析は、Fisherの正確確率検定を用いた。 【結果・考察】解熱鎮痛薬のアセトアミノフェン、抗生物質、去痰薬は、他の被疑薬(群)に比べ眼の症状が強く、また、眼の後遺症の頻度が高かった(それぞれ、P=0.0025、P=0.0423、P=0.0130)。解熱鎮痛薬群では、紅斑面積10%未満の割合が他の被疑薬(群)に比べて高かった(P=0.0037)。合併症のうち、SJSとTENでともに肝機能障害が最も多く、抗てんかん薬は他の被疑薬(群)に比べ肝機能障害との関連性が高かった(P=0.0032)。本研究により、SJS/TENの臨床症状は被疑薬(群)によって異なることが示された。【結論】今回の結果は、被疑薬(群)を考慮したSJS/TEN患者の適切な治療に用いることができると考える。</p>

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  • CRID
    1390298742739299712
  • DOI
    10.50993/jsptsuppl.44.0_2-c-p-a2
  • ISSN
    24365580
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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