在宅療養高齢者の服薬管理における薬看連携の実態と課題
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- 糀屋 絵理子
- 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
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- 笠松 弥咲
- 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
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- 齊前 裕一郎
- 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
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- 藤井 美咲
- 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
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- 大西 真愛
- 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
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- 勝久 美月
- 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
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- 竹下 悠子
- 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
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- 関口 亮子
- ななーる訪問看護デベロップメントセンター
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- 石川 武雅
- ななーる訪問看護デベロップメントセンター
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- 勝眞 久美子
- ななーる訪問看護デベロップメントセンター
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- 肥後 友彰
- はくとホームケアクリニック
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- 竹屋 泰
- 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
抄録
<p>【目的】在宅療養高齢者の治療の中心となる薬物治療において、多職種による包括的な支援は必要不可欠である。中でも、薬学的知識に精通した薬剤師の支援に、患者の生活に精通した看護師の支援を加味する「薬看連携」によって、高齢者の生活に沿った服薬支援が期待されている。本研究では、薬看連携に焦点を当て、訪問看護師の目線から、連携の実態と課題を明らかにするとともに、在宅医療での適時適切な多職種連携システムの構築を目指すことを目的とした。</p><p>【方法】全国訪問看護事業協会の正会員である、大阪府下の訪問看護事業所全件を対象にwebアンケートを実施した。質問項目は、訪問薬剤師に対する役割理解とその手段、訪問薬剤師とのやり取りの頻度、訪問薬剤師に期待する役割とした。</p><p>【結果】計87件の回答を得た。看護師経験年数は平均21.8年、訪問看護師経験年数は6年であった。服薬管理に対し、薬剤師との連携は必要かという質問に対し、9割以上が「必要だと思う」と回答する一方、訪問薬剤師に対する役割理解として「よく把握している」と回答した者は34名(39%)であった。また、薬剤管理指導の計画書や報告書を1度でも閲覧したことがあるかは、46名(53%)が「閲覧したことがない」と回答し、訪問薬剤師とのやり取りの頻度については、18名(20.7%)が「やり取りしたことがない」と回答した。それぞれの原因として、「そもそも計画書や報告書の存在を知らない」、「担当している薬剤師を知らず連絡できない」、「連絡したいが、忙しくて相談する時間がない」等が挙げられた。また、計画書や報告書の閲覧歴、やり取りの頻度は、訪問薬剤師に対する役割理解との間で、統計的に有意な正の関連を認めた(P>0.01)。今後、薬剤師に期待する役割としては「看護師との情報連携や薬剤知識の提供」、「残薬の管理」、「患者の状態に応じた調剤(一包化、粉砕)」が多かった。</p><p>【結論】訪問看護師は、薬看連携として薬剤師との協働を求めているが、接触機会が少なく、情報連携の手段が確立されていないため、相手の役割理解が進みづらい現状が明らかとなった。今後、薬看連携を推進するために、効率的なやり取りを可能とするICT ツールを基盤とした情報共有を行うと共に、同時訪問を計画するなど、意識的に接触する機会を設け、連携事例を積み重ねることが重要であると考えられた。</p>
収録刊行物
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- 日本臨床薬理学会学術総会抄録集
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日本臨床薬理学会学術総会抄録集 44 (0), 2-C-O09-3-, 2023
一般社団法人 日本臨床薬理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390298742739369216
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- ISSN
- 24365580
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可