治験におけるリモートSDVシステムの開発とその導入における取り組み
Description
<p>【目的】原資料の直接閲覧(SDV:Source Data Verification)は、治験データの信頼性確保のためにGCP上定められている。近年、多施設共同試験の増加や実施医療機関ごとの被験者数減少により、SDVに多大な労力やコストを費やしていることが問題となっている。効率化のために「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」でリモートSDVの推進が提言され、医療機関側で様々な取り組みが行われている。今回、九州大学病院においてセキュアな環境を用いた新たなリモートSDVシステムを開発し、導入したので紹介する。【方法】医師向けの病院敷地外からも電子カルテの画面を操作・閲覧することを可能とするシステムが別目的で存在していた。厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠し、VPN(Virtual Private Network)の暗号化通信回線を用いて仮想デスクトップ(VDI:Virtual Desktop Infrastructure)上で電子カルテを閲覧することとした。閲覧者の本人確認は通常の電子カルテと同じで生体認証(手のひら静脈認証)とした。また、運用開始前に協力の得られた3試験において、リモートSDVを試行し、問題点の抽出と対応について検討した。【結果・考察】専用モバイルPCをSDV用に権限、周辺システムなどの閲覧可能な範囲をカスタマイズしたリモートSDV用端末として、治験依頼者に貸し出し、リモートSDV用端末~VDI端末にVPNを構築し、通信内容を秘匿した状態でセキュアに電子カルテを閲覧できるようにした。リモートSDV用端末にはCLOMOの位置情報監視機能を利用し、SDV用の隔離した個室等、事前に登録した場所以外では閲覧できない設定とした。また、リモートSDV用端末の貸与は治験依頼者と契約を締結し、閲覧できる患者は該当する試験の被験者のみとした。試行の結果、遠隔地からVPN機能を用いて安全にリモートSDVの実施が可能であることを確認したため、2023年4月より本格運用を開始している。【結論】VDI機能とVPN技術を組み合わせたセキュアな環境により、安全なリモートSDVの実施が可能となった。リモートSDVの導入により、モニタリングの効率化による品質向上やコスト削減等のメリットが見込まれる。</p>
Journal
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- Annual Scientific Meeting of The Japanese Society of Clinical Pharmacology and Therapeutics
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Annual Scientific Meeting of The Japanese Society of Clinical Pharmacology and Therapeutics 44 (0), 2-C-P-E5-, 2023
The Japanese Society of Clinical Pharmacology and Therapeutics
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390298742739399808
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- ISSN
- 24365580
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
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- Abstract License Flag
- Disallowed