AAHRPP受審で学んだこと

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抄録

<p>AAHRPPとは、米国の非営利組織であり、人を対象とする研究の実施・審査・管理を行う組織に対して、被験者を保護するための組織的取り組み(=被験者保護プログラム)の認証を行う機関である。AAHRPPは米国だけでなく、台湾、韓国、中国等のアジアを含む世界中の研究団体を認証している。認証を受けるには、AAHRPPが規定する60項目を超える被験者保護の評価基準を満たすことを、規程や手順書等の文書、議事録等の実践した結果を通じて示すことが必要である。</p><p> 当院では、人を対象とする研究において被験者保護を強化し、質の高い研究を推進するため、2016年より未来医療開発部 被験者保護室を中心に、研究に関与する職種にてタスクチームを作り、認証取得に向けたセルフアセスメントを開始した。はじめに被験者保護プログラムを構成する重要な機能として、教育プログラム、リソース管理、コンプライアンス管理、利益相反管理、試験薬・試験機器管理、契約と研究費、補償、地域病院との連携、IRB(治験審査委員会、倫理審査委員会等の委員会)、アウトリーチ活動と臨床研究相談窓口の10個をリストアップし、被験者プログラムの概要を作成した。また、認定基準を満たすために、運用の見直し、手順書等の整備を行った後に申請し、サイトビジットを経て、2022年12月に国内の病院として初めて認証を取得した。</p><p> 取組の過程で、申請に関する資料がすべて英語であったことはもちろん、日米の規制や用語の違いを理解し、説明することに苦労した。特に、本邦では医機法下のGCP省令、臨床研究法、再生医療等の安全性の確保等に関する法律、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針等の規制毎に審査する委員会があり、それぞれ運用も異なるという縦割り構造を、AAHRPPに理解してもらうのに困難を極めたため、これを機に運用を見直し、共通手順書を作成した。この手順を作成したことで、運用の標準化が図れた。また、認証への取り組みの過程で、委員会だけでなく、様々な部署の機能が有機的に集まり被験者保護プログラムを構築していることを、被験者保護プログラムに携わる者が改めて認識することができ、組織の被験者保護に関する意識を高めることができた。加えて、組織としての品質改善プログラムを整備することで、継続的に改善に取り組む体制が確立した。本シンポジウムでは、これら受審での気付きや学んだことを報告する。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390298742739423360
  • DOI
    10.50993/jsptsuppl.44.0_2-c-s27-1
  • ISSN
    24365580
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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