近世ロンドンにおけるシティ・郊外関係の再検討

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • ――16、17世紀桶屋カンパニによるラトクリフ・チャリティ運営の分析から――

抄録

<p> 近世のロンドンは流入民の激増と郊外の拡大の時代として知られる。その中で、中世以来の市域であるシティと郊外とが一体性を維持できたのかについては、研究者間で意見の一致を見ていない。<br> そこで本稿は、ロンドン東部郊外ステップニ教区のラトクリフ集落に位置したチャリティの運営を通じて、シティの同職団体、桶屋カンパニがどの程度郊外地域に影響力を持ち得たのかについて検討し、以下の点を明らかにした。まず、チャリティ運営に伴う組合員の継続的な現地訪問によってカンパニが構築した人的ネットワークは、細分化していたロンドンの諸権力のそれぞれの管轄の垣根を越える可能性を持っていた。同時に、その影響力には地理的、時間的限界があったと思われる。影響力の及ぶ範囲はチャリティ施設の周辺に留まっていたであろう。また1680年代頃までに、地域の状況変化を背景として、チャリティ運営を通じた住民からの支持獲得は困難になっていたと考えられる。 </p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390298820566712192
  • DOI
    10.20720/cuhreview.42.0_5
  • ISSN
    24240885
    02871637
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ