フローダイバータステント治療による脳動脈瘤内血栓化予測に向けた数理モデルの開発

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抄録

<p> 脳動脈瘤の治療法として,フローダイバータ(FD)ステント術が注目されている.この治療法は,瘤への血流を減弱化することで,瘤内の血栓化を促進し,血栓で瘤を閉塞することを目的としている.しかし,瘤の完全閉塞が達成されない場合もあり,より安全な治療のためには,術前に血栓化状態を予測できる技術の開発が期待される.そこで,本研究では,FD治療における血栓化プロセスを数理モデル化し,FDの有無や空隙率による血栓化状態の違いを表現できるかどうか検討した. 血栓形成の数理モデルを構築した.血流の停滞域での休止血小板の活性化を起点として,低壁面せん断応力の血管壁面や既にできた血栓に活性化血小板が結合することで血栓が発生・成長することを考えた.流れによる血小板成分の輸送を移流拡散方程式で表現する一方で,血栓濃度をナビエストークス方程式の粘性係数と抵抗力に反映させることにより,血栓と血流の物理的相互作用を表現した. FDがある場合,瘤内で血栓化が進み,FDがない場合では血栓化しないという臨床的に妥当な予測を出力することができた.また,FDの空隙率を変更すると,空隙率の違いによって血栓化傾向が異なるという結果を得た.  以上,開発した血栓形成の数理モデルを用いたシミュレーションにより,FDの有無や空隙率に伴う血栓化状態の違いを峻別でき,脳動脈瘤に対するFD治療計画の策定支援ができる可能性が示唆された.</p>

収録刊行物

  • 生体医工学

    生体医工学 Annual61 (Abstract), 176_2-176_2, 2023

    公益社団法人 日本生体医工学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390298820567243520
  • DOI
    10.11239/jsmbe.annual61.176_2
  • ISSN
    18814379
    1347443X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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