高潮被害で無立木化しシカが出現する海岸林における広葉樹苗の植栽試験

DOI
  • 大谷 達也
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所四国支所

書誌事項

タイトル別名
  • Case study of broad-leaved tree planting in a coastal area deforested by a typhoon storm-surge under sika deer appearance

抄録

<p>台風の高潮被害によって無立木化しニホンジカが出現する徳島県海陽町「大里松原」海岸林の再生に向けて広葉樹植栽の方法を探るため,常緑の低木・亜高木・高木種を含む12樹種で2年間の植栽試験をおこなった。苗木の成長量やシカによる被害をもとに,植栽時の樹種の組み合わせやシカ対策を検討した。苗木成長やシカ被害についての変数によるクラスター分析では,シカ被害の軽微な7種と激しい5種に二大別された。シカ被害の軽微な樹種では亜高木種のヤマモモとヒメユズリハ,激害を受けた樹種では低木種のトベラが旺盛な樹高成長を示した。高木性樹種のクスノキ・ヤブニッケイ・タブノキ・ホルトノキではいずれも,葉の白斑や褐変,退色といった強光阻害の兆候がみられた。大里松原の植栽試験地周辺では,内陸の山地との間に小規模な森林や放棄農地が点在しており,シカが出現しやすい環境が整っていると考えられた。このような海岸林が無立木になった場合,小区画ごとに防護柵を設置したうえで,保護樹としてのヤマモモ・ヒメユズリハ・トベラに高木性樹種を組み合わせて植栽することを提案した。</p>

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 65 (2), 69-79, 2023-12-25

    森林立地学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390298820576475136
  • DOI
    10.18922/jjfe.65.2_69
  • ISSN
    21896275
    03888673
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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