当科で経験したAIDS関連ニューモシスチス肺炎の免疫再構築症候群の検討

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  • トウ カ デ ケイケン シタ AIDS カンレン ニューモシスチス ハイエン ノ メンエキ サイコウチク ショウコウグン ノ ケントウ

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抄録

ニューモシスチス肺炎(PCP)を発症した後天性免疫不全症候群(AIDS)患者の抗レトロウイルス療法(ART)開始時期については,早期開始によるAIDS関連死の減少が報告されているが,一方で免疫再構築症候群(IRIS)の危険性も高くなるため,ART開始時期についての議論が続いている。 今回,当科で治療を行ったAIDS関連PCP 18 例について,IRIS発症率とART開始時期について後方視的検討を行った。 年齢中央値 39 歳,男性 17 例,初診時 HIV-RNA, CD4中央値は,それぞれ 5. 38 log copies/mL,25/uL, AIDS指標疾患合併数(中央値)2 個,PCP治療開始からART開始までの期間(中央値)は 28 日であった。PCP-IRISは 18 例中 4 例( 22 % )に発症し,IRIS発症群は非発症群に比し,高齢( 49 vs 37 歳),BMI低値( 18.6 vs 19. 9 kg/m2 ),初診時CD4低値(12 vs 28/uL ), AIDS指標疾患合併数が多い( 2. 5 vs 1. 5 個) 傾向が認められた。 そして,PCP治療開始からART開始までの期間(中央値)は,IRIS発症群 19.5 日に対し,非発症群 40.0 日と短い傾向にあった。 AIDS関連PCPのART開始時期は,年齢が高く,免疫不全が進行している場合は,PCP治療開始後 28 〜 35 日のART開始によりIRISを回避できる可能性が示唆された。

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