ノロウイルス感染性急性胃腸炎発症を契機に播種性血管内凝固症候群合併,糖尿病性昏睡,甲状腺クリーゼを来した一例

  • 佐藤 正通
    国立病院機構高崎総合医療センター 総合診療科

書誌事項

タイトル別名
  • ノロウイルス カンセン セイキュウセイ イチョウエン ハッショウ オ ケイキ ニ ハシュセイ ケッカン ナイ ギョウコ ショウコウグン ガッペイ,トウニョウビョウセイ コンスイ,コウジョウセン クリーゼ オ キタシタ イチレイ

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抄録

症例は 46 歳,男性。糖尿病,バセドウ病の診断がなされていたが両疾患共にコントロール不良であった。 突然の嘔吐,発熱,水様便出現。初診時,呼吸苦の訴えあり,頻呼吸,頻拍を呈していた。 来院後より血圧低下に伴い意識障害進行あり血液ガス分析より著しい代謝性アシドーシス,高血糖認められICU管理となった。入院時ノロウイルス抗原迅速検査陽性,尿ケトン体陽性であり,糖尿病性ケトアシドーシスに加え,PaCO2 42 mmHgであることから,意識障害による呼吸性酸塩基平衡代償不全の状態と判断。人工呼吸器装着後,補液速度増量しインスリン持続投与開始。 後 2 日の経過中に腎機能障害,血小板減少及び炎症反応上昇等進行を抑制し得ず,高度消化管粘膜障害に基づく二次的細菌感染による播種性血管内凝固症候群(DIC)と診断。 抗生剤投与下ポリミキシン吸着及び抗凝固療法開始。甲状腺機能亢進状態に対し血圧回復後よりβブロッカー持続投与,ヨード投与を併用した。 第 3 病日には酸素分圧の低下,胸部レ線上両側肺野に中心性びまん性の浸潤影を検出。甲状腺クリーゼによる急性心不全,肺水腫と診断し持続的血透析(CHDF)を併用した。 以降全身状態改善,解熱し利尿もみられ,人工呼吸器離脱。血糖コントロールを行い退院に至った。

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