特異な臨床像を呈した多発性皮膚平滑筋腫の 1 例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Multiple Cutaneous Leiomyomas with Unusual Clinical Feature
  • トクイ ナ リンショウゾウ オ テイシタ タハツセイ ヒフ ヘイカツ キンシュ ノ 1レイ

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抄録

<p>70 歳,女性。子宮筋腫(子宮全摘術),左腎珊瑚状結石(左腎摘術)の既往があった。60 歳頃より眉毛部,前額の皮膚肥厚を自覚しており,時折疼痛を伴うため当科を受診した。両眉毛部から前額にかけて,皮膚表面の変化を伴わないびまん性の硬結を認め,眉間や前額の皺襞が深くなっていた。上口唇白唇部や鼻唇溝部も全体的に皮膚が肥厚し,表面の毛孔が開大してみえた。右手関節部には約 6 mm で弾性硬の褐色丘疹を認めた。左眉毛上部の皮膚生検では真皮全層性に紡錘形細胞の増生を認め,Desmin 陽性であった。右手関節部の丘疹の切除検体も同様の腫瘍細胞が増生していた。以上より,多発性皮膚平滑筋腫と診断した。顔面の腫瘍は境界が不明瞭で,外科的治療は困難なため無治療で経過をみている。多発性皮膚平滑筋腫のなかには Fumarate hydrataseFH)遺伝子変異が同定されるものがあり,子宮筋腫や腎細胞癌を合併する頻度が高いことが知られている。自験例は遺伝子検査を行っていないが,子宮筋腫の既往を有しており,FH 遺伝子変異を有する可能性がある。今後は腎細胞癌の発症に注意が必要である。多発性皮膚平滑筋腫の皮疹分布・数は報告によりさまざまであるが,いずれの報告でも個疹は丘疹,小結節であり,自験例のように顔面にびまん性の硬結,深い皺襞を形成した症例は見当たらず貴重な症例と考えた。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 85 (6), 473-476, 2023-12-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (9)*注記

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