レヴィ小体病及びアルツハイマー病に合併する辺縁系優位型加齢性TDP-43脳症(LATE)の臨床病理学的特徴

  • 上村 麻衣子
    京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座臨床神経学

書誌事項

タイトル別名
  • Clinicopathological feature of limbic-predominant age-related TDP-43 encephalopathy (LATE) in Lewy body disease and Alzheimer’s disease: Research Introduction

抄録

<p>辺縁系優位型加齢性TDP-43脳症(limbic-predominant age-related TDP-43 encephalopathy, LATE)は、大脳辺縁系領域を中心に観察される、TDP-43凝集体を主体とした病理所見で、加齢とともにその出現頻度が増加する。またLATEの特徴として、海馬硬化の他、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)やレヴィ小体病(Lewy body disease, LBD)といった他の神経変性疾患に合併する事が多い。我々は、ペンシルベニア大学神経変性疾患研究センターに保管されている剖検脳サンプルの解析により、ADやLBD、またはその混合病理に合併するLATEの臨床病理学的特徴および遺伝学的特徴を明らかにした。病理学的分析では、LBDに合併するLATE(LATE-LBD)とADに合併するLATE(LATE-AD)ではLATE病理の海馬分布が異なっており、LATE-LBDではLATE-ADと比較して、アンモン角3(CA3)における神経細胞質内包含体がより多く、C末端切断されたTDP-43からなる細かな神経突起がCA2から海馬台へと広がっていた。これらの神経突起病変の一部はリン酸化α-シヌクレインと共局在していた。LATE-LBDのステージングでは、LATEの神経病理学的変化がLATE-ADよりも早く歯状回と脳幹に広がることが示された。LBDにおけるLATEの出現頻度は、LBDサブタイプまたはAD病理学的変化と独立して、認知障害と関連していた。遺伝学的解析では、LATE-LBDステージは、TMEM106B rs1990622およびGRN rs5848の遺伝的リスク変異と関連していた。これらの結果は、ADやLBDにおけるLATEの多様性を浮き彫りにすると同時に、今後の臨床研究における患者の適切なリクルートの必要性も示唆している。</p>

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参考文献 (28)*注記

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