マスバランスモデルの概要と工業材料への適用における課題

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タイトル別名
  • Summary of Mass Balance Model and Its Challenges in Application to Industrial Materials

抄録

<p>製品のサプライチェーンを通じて得られた情報を元にした環境主張に対し、CoC(Chain of Custody、一連の管理)モデルが整備されてきている。CoC は、1970 年代から農作物の持続可能性を主な対象として適用されてきた。近年では、化学製品を中心とした工業材料の環境主張を対象に CoC のうちマスバランスモデルの適用が進んでいる。ただし、多くの工業材料ではマスバランスモデルの実装に際し課題が存在する。マスバランスモデルは、その解釈として材料や製品に含まれる固有の特性を任意に割り当てることができる。こうした主張が特に環境主張においては誇大であるとの指摘もあり、適正な主張のために、マスバランスモデルの適用に際してその対象が満たすべき要件を明確に定める必要がある。マスバランスモデルでは、適用対象のシステムを定めて入出力を特定する。しかし、既存の定義では対象となる個別の材料や製品に応じたシステムが一意ではなく、システムに応じた固有の特性の定量化および配分手法も画一的なものがない。また、化学製品以外の多くの工業材料では主張の方法が個別の製造事業者の裁量に委ねられており、統一的な評価手法や認証スキームを用意し、これに則った主張を行うことが望ましい。加えて、現状の定義では入力と出力の関連性の点でマスバランスモデルと B&C モデル(book and claim model)の区別が曖昧であり、両モデルの使い分けについて議論が必要である。マスバランスモデルの適用条件と適格性を定めた上で、工業材料に適用可能な統一的なマスバランスモデルの手法論の確立が望まれる。</p>

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