4. 臨床副作用研究におけるヒト培養細胞の利用

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抄録

<p> ファーマコビジランス(PV)分科会およびスフェロイド分科会は、副作用研究における臨床と非臨床のギャップの最小化を目的としてそれぞれ異なる視点から活動を行っている。すなわち、PV分科会活動の目的の1つは、臨床副作用研究における非臨床からのアプローチ方法の探索であり、スフェロイド分科会活動の目的の1つは臨床副作用研究における種差の解消方法としてのスフェロイド培養系の可能性の検討である。両分科会の活動目的を達成するための共通課題として臨床副作用研究におけるヒト培養細胞の利用がある。</p><p> 特異体質性臓器障害をはじめとする医薬品の市販後の副作用の予測は、従来のスタンダードな毒性試験では困難なことが多い。このような状況においてヒトの副作用研究における非臨床からのアプローチについては、動物の病態モデルを用いた実験や培養細胞を用いたin vitro実験の積極的利用が今後さらに求められると考える。一方、これらの実験の背景値や得られた結果のヒトへの外挿性は必ずしも十分なものとは言えない。特に培養細胞をヒトの副作用研究に用いる場合は、細胞の培養条件や培養方法についても最適化を図る必要があると考える。また、培養細胞を用いたin vitro実験の結果をin vivoに外挿する場合は、その限界を十分把握する必要がある。さらに、ヒトと動物の細胞の反応性の違いも考慮すべきである。</p><p> 以上のような背景を踏まえ、本稿では以下の観点から臨床副作用研究におけるヒト培養細胞の利用について考察を行う。</p><p>① 医薬品の特異体質性臓器障害の想定メカニズムの1つであるミトコンドリア毒性の評価におけるヒト細胞を用いたin vitro実験の有用性</p><p>② ヒトの副作用を予測するうえで有用と考えられる培養細胞を用いる評価系</p><p>③ 培養細胞を用いる実験において検討すべき課題</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390298975427164800
  • DOI
    10.50971/tanigaku.2010.12_135
  • ISSN
    24365114
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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