有熱時発作群発症例の管理方法の後方視的検討

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Retrospective analysis of patients with clusters of seizures accompanied with fever

この論文をさがす

抄録

<p> 【目的】有熱時発作群発症例の臨床的特徴や血液検査所見を調査し,その管理方法について検討する.【方法】対象は2011年から2021年に当院小児科に入院した有熱時発作群発症例でカルテを用いた後方視的検討を行った.てんかんや発作に関連する基礎疾患がある例,てんかん重積症例は除外した.発作群発回数別に,2回群発群(A群)と3回以上群発群(B群)に分けて検討した.調査項目は,年齢,既往歴,家族歴,入院期間,体温,発症時の血液検査,治療内容とした.【結果】症例は計223例で,A群169例,B群54例であった.退院時に診察上,神経学的異常所見を認めた症例はなかった.B群ではA群と比較し,低年齢で入院期間が長く,血清ASTとALTは高値で血糖値は低かった(p<0.05).Diazepam(DZP)坐薬を2回目発作後と3回目以降の発作後に投与した症例のうち,各々80%と90.9%でそれ以降の発作を認めなかったが,DZP坐薬使用の有無による3回目以降の発作抑制率に有意差はなかった.【結論】有熱時発作群発児の約1/4が3回以上の発作を繰り返した.血清AST,ALTによる発作群発予測は感度,特異度は低く更なる検討を要する.DZP坐薬使用による群発抑制効果も明確ではなかった.発作群発例の入院適応や治療は,病院へのアクセスや地域での医療資源,保護者の負担を踏まえた判断が必要と考える.</p>

収録刊行物

  • 脳と発達

    脳と発達 56 (1), 33-38, 2024

    一般社団法人 日本小児神経学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ