北陸地方に生育するエビネ<i>Calanthe discolor</i>における人工授粉および袋掛けが果実および完熟種子生産に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Effects of artificial pollination and herbivore exclusion on the fruit set and seed production of the rare orchid <i>Calanthe discolor</i> in Hokuriku District, Japan

抄録

<p>要約: ラン科植物のエビネは、ランミモグリバエによる採食および花粉媒介者であるハナバチ類の減少により、絶滅危惧の危機に瀕している。そのため、袋掛けおよび人工授粉が有効な保全対策として考えられる。福井県内の野外5調査地区において、エビネに人工授粉および袋掛けを行い、果実および完熟種子が生産される割合を比較した。2021-2022年の2年間、全供試株24個体を対象に、1) 人工授粉未処理群/袋掛け未処理群 (13個体)、2) 人工授粉処理群/袋掛け未処理群 (5個体)、3) 人工授粉処理群/袋掛け処理群 (6個体)の3パターンに分類した。その結果、果実数は、人工授粉処理群では1個体あたり平均で5.0個 (最小1個-最大9個)の果実が生産されたのに対し、人工授粉未処理群では平均で0.2個 (最小0個-最大2個)であった(Wilcoxonの順位和検定、p<0.0001)。ランミモグリバエなどのハエ類による被害率は、袋掛け処理群では平均で0% (最小0%-最大0%)ですべての果実から完熟種子が生産されたのに対し、袋掛け未処理群では平均で56% (最小0%-最大100%)であった(Wilcoxonの順位和検定、p<0.01)。以上のことから、エビネにおける人工授粉および袋掛けにより、果実および完熟種子生産に統計的に有意な効果があることが確かめられた。特に、エビネにおける授粉の機会が極めて少ないことが示唆され、今後の世代交代を考慮すると問題である。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390298986213749504
  • DOI
    10.18960/hozen.2303
  • ISSN
    24241431
    13424327
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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