統計解析を駆使した生物活性物質の探索法

DOI
  • 村上 一馬
    京都大学大学院農学研究科食品生物科学専攻生命有機化学分野

書誌事項

タイトル別名
  • A statistical analysis-based method for finding bioactive natural products
  • – focusing on functional foods that inhibit amyloid protein aggregation
  • ~アミロイド蛋白質の凝集を阻害するファンクショナルフードを例として~

抄録

<p>生物活性をもつ天然物は創薬シーズになることから,天然物の探索研究は古くから行われている.ファンクショナルフードや生薬は身近な天然物として,有用なスクリーニングソースである.筆者の所属研究室では,アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβ蛋白質(Aβ42)の凝集現象を天然物研究の一例として,多くの凝集阻害物質が報告されてきた.一般に,天然物の抽出液から活性成分を単離して,化学構造を決定するには精製と活性確認を繰り返す必要があり,長期間かかることも珍しくない.そこで,LC-MS と主成分分析を活用した活性成分の新たな同定法を検討した.スクリーニングソースには,アルプス薬品工業(株)から供与いただいた生薬ライブラリーに含まれる抽出液380 種を用いた.植物18 種に由来する部位の異なる生薬46 種を選抜し,Aβ42 の凝集能に与える影かこうかよう響をチオフラビンT 蛍光法によって調べた.その結果,ハス由来の5 つの生薬[荷梗(葉柄),荷葉 れんすれんぼう ,藕節(根節),蓮鬚(雄蕊),蓮 房(果托)]が,それぞれ強度が異なる阻害活性を示した.こ れらの抽出液をLC-MS 分析し,主成分分析を行い,化合物バンクのデータベースから化合物の極性や分子量,フラグメント構造を網羅的に探索し,候補化合物を22 種に絞り込んだ.さらに凝集試験を行った結果,6 種のフラボノイドと配糖体2 種が強い抑制活性を示すことがわかった.特に,ロビネチンとミリシトリンが凝集抑制活性を示すことを初めて見いだした.本総説では,これらの生物活性物質の探索法の他に,天然物研究に関する最近の知見を紹介する.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299130048993280
  • DOI
    10.32153/ffr.ffr19_p28-33
  • ISSN
    24343048
    24323357
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ