輪状軟骨開窓術による上気道管理

DOI
  • 仲宗根 和究
    琉球大学大学院医学研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座
  • 真栄田 裕行
    琉球大学大学院医学研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座
  • 鈴木 幹男
    琉球大学大学院医学研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical review of patients undergoing cricotracheostomy

この論文をさがす

抄録

<p>喉頭低位,肥満,短頸などを伴う症例では,通常の気管切開では手術や術後管理に難渋する例が少なくない.その様な症例に対して,輪状軟骨開窓術の安全性が示唆されている.当科で実施した輪状軟骨開窓術14例についてレビューし,その有用性を検討した.</p><p>14症例中10症例で喉頭低位,肥満,短頸等を有していたが,カニューレの再挿入困難や皮下への迷入などの重大な合併症はなかった.14例中5例はCOVID-19肺炎による長期挿管に対して施行された.開窓からカニューレ留置までの時間短縮を目的として通常と異なる逆U字の開窓を行う工夫をした.14例中2例は腫瘍による上気道閉塞に対する局所麻酔下の手術であった.輪状軟骨開窓術は輪状甲状間膜と術野が隣接し,術中の窒息が起きた際は速やかに輪状甲状間膜切開へと移行できる安全な術式と考えられた.14例中4例では開窓孔は閉鎖された.閉鎖後半年の経過観察で気道狭窄などの合併症は生じていない.</p><p>輪状軟骨開窓術は喉頭低位,肥満,短頸などの症例に安全な術式であり,COVID-19肺炎による長期挿管,局所麻酔下の施行,気管孔閉鎖を望める症例にも対応可能だが,長期的な合併症の可能性もあるため適応症例を慎重に判断する必要がある.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ