かび毒の細胞に対する毒性評価と産生菌検出に関する研究

  • 鈴木 忠宏
    国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluation of cellular toxicity induced by mycotoxins and development of detection technique for their synthetic fungi

抄録

<p> マイコトキシンの毒性やその汚染リスクに関する問題に取り組むため,毒性評価と検出技術開発を含む以下の研究を行ってきた.かび毒の毒性評価では,アフラトキシンB1(AFB1),パツリン(PAT),デオキシニバレノール(DON),およびそれらの誘導体や配糖体の曝露による影響を,酵母細胞系を用いたDNAマイクロアレイ解析により検討した.AFB1は細胞周期異常をもたらすスフィンゴ脂質代謝経路関連遺伝子の発現変化を誘導した.タイプBトリコテセンマイコトキシンの比較では,15-アセチル-DON(15AcDON),フサレノンX(FusX)およびDONが高い毒性を示した.PATの毒性評価では,アスコルビン酸(AsA)の影響も考慮し,AsA添加による細胞増殖の回復と遺伝子発現の正常化を明らかにした.酵母細胞試験に加えて,緑藻類を用いた毒性評価では,特定の光照射条件下で15AcDONとFusXの毒性が異なることが明らかになった.光照射試験によりAF合成の制御を探索した結果,500-525 nmの青緑色光はAF産生を最大化するが,400-720 nmの可視光域ではAF合成を完全に阻害する波長は同定されなかった.AF産生菌の簡便な検出培地の開発には,α--シクロデキストリンによるAFの取り込みと活性炭(AC)の添加が必要であった.ACの添加は,培養プレート上のコロニー周辺部での光の散乱を減少させるだけでなく,観察効率を向上させるために必要な金属イオンを提供すると考えられた.</p>

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参考文献 (27)*注記

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