ニコランジルが有効の微小血管狭心症で,心房細動発症との関連が示唆された1例

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タイトル別名
  • A Case of Microvascular Angina With Atrial Fibrillation in Which Nicorandil Was Effective

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説明

<p> 微小血管狭心症(microvascular angina;MVA)は近年注目されているが,診断的認識とその治療法の確立は遅れている.今回,我々はニコランジル(nicorandil;NIC)が有効である,心房細動を伴うMVAの症例を経験したので報告する.症例は58歳,女性.安静時胸痛の頻度増加のため当科を受診した.時折,胸痛に加えて動悸を自覚することがあった.安静時狭心症疑いにて,カルシウム拮抗薬,ニトログリセリン(nitroglycerin;NTG)舌下錠を服薬したが効果は乏しかった.精査のため,心臓カテーテル検査を施行した.冠動脈造影で器質的狭窄病変を認めず,アセチルコリン(acetylcholine;Ach)負荷試験を実施した.左冠動脈へのAch負荷で,即座に頻脈性心房細動(atrial fibrillation;Af)が発症し,動悸を伴う胸痛を自覚した.虚血性心電図変化を認めたが,冠攣縮は認めなかった.冠循環の乳酸産生が確認され,MVAと診断した.NTG冠注の効果は確認できなかったが,NIC冠注にて直ちにAfの停止と,症状消失を確認した.乳酸産生の消失も確認し,NICが有効と判断した.MVAは確立した治療法がなく,症状制御に難渋することも多い.検査時のNIC冠注はその有効性の確認に有用である可能性がある.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 55 (2), 150-154, 2023-02-15

    公益財団法人 日本心臓財団

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