肺血栓塞栓症を契機に診断された<i>ROS1</i>融合遺伝子陽性肺腺癌の1例

  • 宮平 由佳子
    函館五稜郭病院初期臨床研修
  • 角 俊行
    函館五稜郭病院呼吸器内科 札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科
  • 鈴木 敬仁
    函館五稜郭病院呼吸器内科 札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科
  • 越野 友太
    函館五稜郭病院呼吸器内科 札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科
  • 池田 拓海
    函館五稜郭病院呼吸器内科 札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科
  • 渡辺 裕樹
    函館五稜郭病院呼吸器内科
  • 山田 裕一
    函館五稜郭病院呼吸器内科
  • 千葉 弘文
    札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of <i>ROS1</i> Fusion Gene-positive Lung Adenocarcinoma Diagnosed After Pulmonary Thromboembolism

抄録

<p>背景.ROS1融合遺伝子陽性肺癌(以下,ROS1肺癌)は非小細胞肺癌の1~2%であり,希少な遺伝子変異である.ROS1肺癌は若年者,女性,非喫煙者に多く,病理学的に粘液を有する腺癌が多い.非小細胞肺癌は血栓塞栓症の発生率が増加するが,さらにROS1肺癌は血栓症リスクが上昇する.本症例は肺血栓塞栓症を契機にROS1肺癌と診断された.症例.46歳の男性が息切れと両下腿の疼痛のため受診した.造影CTで肺動脈および左大腿静脈に血栓と,右中葉に結節影と縦隔リンパ節腫脹を認めた.肺血栓塞栓症と診断し,直ちにヘパリン持続注射を開始した.縦隔リンパ節より生検し,右中葉肺腺癌cStage IVA,ROS1融合遺伝子陽性と診断した.ヘパリン持続注射からアピキサバンに変更し,クリゾチニブによる治療を開始した.3ヶ月後,血栓は消失し,原発巣およびリンパ節の縮小を認めた.血栓の消失および腫瘍の縮小は12ヶ月以上継続している.結論.血栓症イベントを有する若年肺癌患者は,希少遺伝子変異の可能性を考慮し,迅速な精査および抗凝固療法を行うことが重要である.</p>

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 64 (1), 28-33, 2024-02-20

    特定非営利活動法人 日本肺癌学会

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