考古遺跡にみる動物利用の変遷

書誌事項

タイトル別名
  • Transitions in animal utilization from archaeological remains

抄録

<p>本稿は,近畿地方の歴史時代の遺跡から出土する動物遺存体にみる動物利用の変遷について述べ,動物利用とその背景について論じる.近畿地方の遺跡では,先史から漁撈や狩猟を示す魚貝類や鳥獣類などが出土しており,食用や資源としての動物利用がみられる.弥生時代から古墳時代にかけて家畜が出現するが,古代までに安定的かつ継続的な食料供給源となる食用家畜はなく,近世になってニワトリやブタが食肉家畜として珍しくなくなる.一方,野生鳥獣類のシカやカモ類の消費も近世まで継続され,それらが生息する自然環境があり,存続していたことを示唆する.一方で狩猟は衰退しており,家畜の食利用が普及した可能性も考えられる.水産物利用では,近世では内陸都市でも海産物利用が一般的であり,漁撈や流通の発達需要の増大が魚類利用から窺え,政策的な水産資源管理が必要となるほど資源量の減少を指摘できる.</p>

収録刊行物

  • 第四紀研究

    第四紀研究 63 (1), 27-35, 2024-02-01

    日本第四紀学会

参考文献 (1)*注記

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