成人のFreeman-Sheldon症候群患者の歯科治療経験

DOI
  • 髙野 知子
    神奈川歯科大学附属横浜クリニック障がい者歯科 神奈川歯科大学全身管理歯科学講座障害者歯科学分野
  • 新倉 啓太
    神奈川歯科大学附属横浜クリニック障がい者歯科
  • 杉山 郁子
    神奈川歯科大学附属横浜クリニック障がい者歯科 神奈川歯科大学歯科診療支援学講座高度先進歯科メンテナンス学分野
  • 鈴木 杏奈
    神奈川歯科大学附属横浜クリニック障がい者歯科 神奈川歯科大学全身管理歯科学講座障害者歯科学分野
  • 高瀬 幸子
    神奈川歯科大学附属横浜クリニック障がい者歯科 神奈川歯科大学歯科診療支援学講座高度先進歯科メンテナンス学分野
  • 小松 知子
    神奈川歯科大学全身管理歯科学講座障害者歯科学分野
  • 池田 正一
    神奈川歯科大学附属横浜クリニック障がい者歯科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of an Adult Patient with Freeman-Sheldon Syndrome

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抄録

<p>Freeman-Sheldon症候群(FSS)は口笛顔貌,鼻翼低形成,手指の尺側偏位を主徴とする症候群で,口腔顔面領域においてさまざまな症状を呈する.なかでも小口症は必発症状であり,それによる食物摂取困難,発音障害,口腔清掃状態の不良,歯科治療困難など,歯科領域との関連が深い.今回,成人期で初診来院したFSS患者の歯科治療を経験したので報告する.</p><p>身体所見は両手指屈曲拘縮と両側先天性内反足を認め,顔貌所見と口腔内所見は一般的なFSSの所見にほぼ一致した.口裂は小さく,口裂幅32.4mmで,口腔周囲の緊張と拘縮が著しく,最大開口量は上下中切歯間で21.5mmであった.摂食については現状で本人の満足度は高く,発音障害も認められなかった.その他に全顎的に歯頸部にプラーク付着と歯石沈着,軽度の歯肉腫脹を認め,上下大臼歯部咬合面にう蝕症第1~2度を認めた.患者に知的能力障害は認められず,歯科治療に対し協力的であったが,口唇の伸展が乏しく,頰粘膜を拡げようとすると緊張が強く閉口してしまうため,治療に難渋した.しかし,継続した歯科受診を行い,初診時から2年後には,わずかではあるが口腔周囲の緊張は軽減し,開口量も1mm増加していた.</p><p>FSS患者に対し,歯科受診を重ねることは口腔周囲の緊張を軽減し,小口症による開口障害の改善に繋がると考えられ,良好な口腔内環境,口腔機能の確立,維持のために,早期からの積極的,継続した歯科の介入が重要であると考えられた.</p>

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