不登校の実情と対応

DOI
  • 藤田 光江
    筑波学園病院小児科 東京クリニック小児・思春期頭痛外来

書誌事項

タイトル別名
  • The Actual Condition of Persistent School Non-attendance and Ways to Cope with It

抄録

<p>不登校は近年,小児・思春期の子どものみならずわが国の社会全体において大きな問題になっている.文部科学省によると,不登校とは児童生徒が1年間に30日以上欠席することをいい,「何らかの心理的,情緒的,身体的,あるいは社会的要因・背景により,児童生徒が登校しない,あるいはしたくともできない状況にあること(ただし,病気や経済的な理由によるものを除く)」と定義している.2021年の統計によると,小中学校では244,940人(1,000人中,中学生では50人,小学生では13人)が不登校に登録され,2020年より24.9%増加していた.この増加率はコロナ禍の影響を考慮しても顕著で,衝撃的であった.1992年文部省(当時)は,登校拒否(当時)は深刻な問題で,どの児童生徒にも起こりうるものという視点に立って対処する必要があるとの基本方針を示した.</p><p>不登校は,身体症状,個人の性格特性,家族や社会的要因が複雑に絡んで引き起こされる状態である.登校を渋り始める徴候として,どの年齢でも学校のある日の朝の頭痛や腹痛など身体症状の訴えが多い.子どもがまず受診するのはかかりつけ医と思われるが,器質性疾患が除外された場合は,子どもの性格特性や家庭・学校などに何か困難を抱えていないか目を向けてほしい.長期欠席に至る前の早期発見・早期介入が何より大切である.教師,養護教諭,スクールカウンセラーのかかわりは重要であるが,子どもが学校に入ることを拒否している場合は難しい.その場合は区市町村の適応指導教室や習い事などの子どもの居場所作りが重要である.筆者は行動療法として子どもに登校カレンダーの作成を勧め,小学生では有効例が多い.また,保護者とは別席の子どもへの支持的精神療法は,時間はかかるがどの年齢でもよい転帰につながる.子どもが元気になって,打ち込める何かをみつけ,将来社会に出ていくことが不登校児ケアの最終目標である.</p>

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 64 (2), 113-118, 2024

    一般社団法人 日本心身医学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299318867771264
  • DOI
    10.15064/jjpm.64.2_113
  • ISSN
    21895996
    03850307
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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