胎児診断に基づいた先天性心疾患胎児の分娩施設の選択

DOI
  • 漢 伸彦
    福岡市立こども病院周産期センター新生児科

抄録

<p> 背景</p><p> 胎児心臓超音波検査の普及により出生前診断される先天性心疾患は増加している1)。特に動脈管依存性心疾患など生直後より治療を要する重症先天性心疾患(critical congenital heart disease 以下CCHD)は,「救命」や「後遺症なき生存」のために正確に胎児診断し心疾患の重症度に応じた計画的な周産期管理を行うことが重要である2,3)。</p><p> 当院は年間400例以上の小児心臓外科治療を行っている循環器センターである。また胎児診断から分娩・新生児循環管理から心臓外科治療まで一貫して行える施設でもあり九州全域より年間100例以上の胎児・新生児CCHDを受け入れているが,胎児CCHD症例の増加に伴い慢性的な病床不足のため福岡地区の未熟児・新生児の診療に支障をきたしている。限りあるNICU病床を有効利用することを求められており,各地の周産期センターと連携して胎児心超音波所見から分娩施設を振り分けている。新生児心臓外科治療の可能性があるCCHDは当院にて周産期・循環管理から心臓外科治療まで行うが,新生児期以降の心臓外科治療が予想されるCCHDは他周産期センターで周産期・循環管理を行い心臓外科治療前に当院へ転院としている(図1)。</p><p> しかし分娩施設を選択するための基準となる指針はないため,各周産期センターでCCHDを胎児診断した場合に当院へ母体紹介されないことや生後の経過を予測するうえで大切な心病変を見逃されることで胎児診断されていたCCHD症例が生後早期に緊急新生児搬送されることをしばしば経験する。</p><p> 今回の研究では,胎児診断に基づいた先天性心疾患胎児の分娩施設の選択を行うために新生児期(日齢28以内)に心臓外科治療が必要となる心病変を明確にし,心臓外科治療ができない施設で胎児診断された心疾患を心臓外科治療が可能な施設へ母体紹介する基準を作成することを目的とした。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299318868108288
  • DOI
    10.34456/jspnmsympo.37.0_53
  • ISSN
    2759033X
    13420526
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

問題の指摘

ページトップへ