ワイヤーにおける省エネ・操業改善事例

  • 山田 壱路
    日本フイルコン株式会社 製紙・機能ファブリックカンパニー 国内営業部 東京営業所

書誌事項

タイトル別名
  • Example of Energy Saving and Improvement of Operation with Wire

抄録

抄紙用ワイヤーはワイヤーパートで使用される用具であり,その役割は①パルプスラリーの脱水,②紙質の形成,③次工程(プレスパート)への搬送の3つである。特に,紙質形成に関しては紙の出来上がりを左右する重要な役割であるため,その要求度は高い。また,坪量範囲が薄物から厚物まで広範囲であることから脱水や搬送に関しても多様な要求がある。現代では製紙業界における高品質,高生産性への要求が高まり,抄紙機は大型化,高速化へと発展している。抄紙用ワイヤーもその要求を満たすべく常に進化し続けている。<br>昨今,紙の需要が伸び悩む中,家庭紙においては堅調な推移を示している。日本ではコロナ禍における衛生意識の高まりにより,宿泊施設や飲食店でのタオルペーパーの需要が増加した。また海外でも人口増加や衛生環境の改善等で家庭紙の需要が増加しており,今後もグローバルな成長が見込まれている。家庭紙抄造のマシンには様々なタイプがあり,弊社では各種マシンの要望に沿ったワイヤーの開発を進めてきた。家庭紙用ワイヤーは繊維支持性,脱水性,洗浄性,走行安定性等が求められ,それらの優先順位を鑑みた上で,各マシンに適したワイヤーデザインの選定が重要となる。また近年では環境問題の意識の高まりにより,ワイヤーに対し省エネ性能も求められている。多くの要求事項に対応しつつ更なる付加価値を有した,個々のマシンに最適なワイヤーを継続して開発,選定していく。<br>本稿では家庭紙用ワイヤーの特徴と省エネ・操業改善に至った事例を紹介する。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 78 (2), 137-141, 2024

    紙パルプ技術協会

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