わが国における小児腎腫瘍共同研究の変遷

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  • The course of history in a collaborative study of pediatric renal tumors in Japan

抄録

<p>1971年日本小児科学会と日本小児外科学会の両悪性腫瘍委員会が主催し,がんの子供を守る会の協賛で,「小児悪性腫瘍研究会」が開催され「Wilms腫瘍」を主題に集中討議が行われた.1985年からは日本小児がん研究会と名称を変え,1991年に日本小児がん学会となった.1996年大川治夫を中心に,日本ウィルムス腫瘍スタディグループJapan Wilms Tumor Study(JWiTS)が結成され,①全国統一プロトコール(NWTS protocol)導入,②中央病理診断システム導入,③データベースの確立,④分子生物学研究推進を実行し,わが国のWilms腫瘍の診断治療の発展に大きく寄与した.2003福澤正洋を中心に新JWiTS委員会が結成され,現在の日本小児がん研究グループ(JCCG)腎腫瘍委員会に引き継がれている.JWiTS-1(1996~2005年)では,施設病理と中央病理との一致率は不良(81.7%)であった.そこでJWiTS-2(2006~2014年)では,中央病理への検体提出を必須とした結果,Wilms腫瘍のStage IからIIIで,relapse free survival(RFS)およびoverall survival(OS)ともに90%以上と改善がみられた.しかしstage IVではRFS 66.2%,OS 84.6%と不良で,退形成型Wilms腫瘍と後腎芽細胞優位型Wilms腫瘍,両側性Wilms腫瘍については今後の課題である.腎明細胞肉腫はRFS 33.3%,腎ラブドイド腫瘍はOS 25% RFS 18.8%と予後不良である.2014年JCCG腎腫瘍委員会としてInternational Society of Pediatric Oncology(SIOP)腎腫瘍グループとの共同調査研究Umbrella Protocol参加の方針となった.これまでにわが国を含め計42カ国以上が参加しており,今後の進展が期待されている.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299384436362112
  • DOI
    10.11412/jspho.60.277
  • ISSN
    21895384
    2187011X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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