繰り返しの投球が肘関節に与える影響の検討

DOI
  • 髙橋 知之
    昭和大学藤が丘リハビリテーション病院リハビリテーションセンター
  • 高橋 俊行
    昭和大学横浜市北部病院放射線技術部 昭和大学大学院保健医療学研究科 昭和大学スポーツ運動科学研究所
  • 西中 直也
    昭和大学大学院保健医療学研究科 昭和大学スポーツ運動科学研究所 昭和大学保健医療学部理学療法学科 昭和大学藤が丘病院整形外科

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of repeated pitching on the elbow joint: Investigating changes in magnetic resonance images of elbow joints before and after 100 pitches
  • 〜100球の投球前後における肘関節MRI画像の調査〜

抄録

繰り返しの投球前後で肘関節内側裂隙間距離の拡大や上肢筋筋力の低下,投球動作中の運動学・運動力学データの変化を報告した文献はあるが,肘関節の磁気共鳴画像診断法(MRI)の変化を調査した文献は少ない.本研究の目的は100球の投球前後でMRIを用いて肘関節内側側副靭帯(MCL)の評価を行うと同時に肘関節内側裂隙間距離や上肢筋筋力,投球動作中の運動学および運動力学的データの変化を調査することである.対象は健常野球経験者11名とした.100球の全力投球前後で肘関節MRI画像の撮影,肘関節内側裂隙間距離・上肢筋筋力・投球動作中の運動学・運動力学データの計測をした.投球前後のMRI画像からMCLの輝度および形態変化の有無を調査し,対応のあるt検定またはWilcoxson検定を用いて内側裂隙間距離,上肢筋筋力,投球動作中の運動学・運動力学データの平均値を比較した.有意水準は全て5%とした.投球前後で明らかなMCLの輝度および形態変化は認めなかった.投球前後で内側裂隙間距離の有意な拡大,ゼロポジション近似肢位における肩外旋筋力の有意な低下を認めた.投球動作中の運動学・運動力学データは変化がなかった.100球程度の投球では,MCLにMRI画像の輝度や形態変化は認められないが,同じくリスクの一因である肘関節内側裂隙間距離の拡大やZero外旋筋力の低下は認められた.投球前後の内側裂隙間距離の有意な拡大はMCLのゆるみの発生を示唆する.しかし形態変化を示唆するMRI画像で輝度変化は認めず,さらに疼痛が発生した者もいなかった.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299384436371584
  • DOI
    10.14930/jshowaunivsoc.84.38
  • ISSN
    2188529X
    2187719X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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