有害性粉じんによる肺障害モデル動物の作出と障害マーカーの探索

DOI
  • 武田 知起
    独立行政法人労働者健康安全機構 日本バイオアッセイ研究センター
  • 山野 荘太郎
    独立行政法人労働者健康安全機構 日本バイオアッセイ研究センター
  • 後藤 裕子
    独立行政法人労働者健康安全機構 日本バイオアッセイ研究センター
  • 馬場本 絵未
    独立行政法人労働者健康安全機構 日本バイオアッセイ研究センター
  • 鈴木 正明
    独立行政法人労働者健康安全機構 日本バイオアッセイ研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Generation of animal models of occupational lung disease caused by hazardous dust and search for their biomarkers

抄録

<p>【目的】労働現場等で生じた有害性粉じんは、長期間の吸入により肺に線維化等の慢性毒性を引き起こす。これまでに多種多様な粉じんによる肺への障害性が報告されているが、障害メカニズムやマーカーに関する知見は充分ではない。本研究では、8種の粉じんをラットに単回気管内投与し、急性期~慢性期病態の特徴を評価すると共に、障害マーカーを探索した。 【方法】雄性F344ラットに、PBSに懸濁した粉じん [超硬合金、酸化第二鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミニウム、アルミナ、酸化インジウムスズ (ITO)、結晶性シリカ] を10~500 mg/kgで単回気管内投与し、4週、13週及び26週後に気管支肺胞洗浄液 (BALF)、血液及び肺を採取した。BALFのLDHと血漿のsurfactant protein-D (SP-D) を測定し、肺は病理検査に供した。血漿メタボロミクスにはtims-TOF-MSを用いた。【結果・考察】シリカ、ITO、アルミニウム及びアルミナ群ではBALF中のLDH及び血漿SP-Dの上昇が持続的にみられ、酸化第二鉄、酸化亜鉛及び酸化チタン群は4週後のみでの軽微な上昇傾向に止まり、粉じん間で細胞障害性に違いがあることが明らかになった。病理検査の結果、酸化亜鉛とITO群の4週後には肺胞腔内での化膿性炎またはリポたんぱく質様物質の蓄積がそれぞれ顕著であったが、時間経過と共にITO群は増悪した一方で酸化亜鉛群は回復した。酸化第二鉄、酸化チタン、アルミニウム、アルミナ及びシリカ群は間質での被験物質貪食マクロファージの集簇を主体とした間質病変が顕著であり、超硬合金群は間質でのひきつれ病変を特徴とし、これらの間質病変は時間経過に伴い緩やかに進展した。血漿メタボロミクスの結果、stearamide等の脂肪酸アミドの変動が多くの粉じんに共通してみられ、これらが障害マーカー候補となる可能性が示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299395584479616
  • DOI
    10.14869/toxpt.50.1.0_o3-19
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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