カーボンナノチューブ曝露がマウス肺に及ぼす影響
書誌事項
- タイトル別名
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- Effects of carbon nanotube exposure on mouse lungs
抄録
<p>カーボンナノチューブ(CNT)は工学の分野で広く応用可能性なナノマテリアルとして注目されている。しかし、その高いアスペクト比と生物耐久性がアスベスト様の毒性を誘発させる懸念が指摘されている。本研究では咽頭吸引法によりNrf2ノックアウトマウスおよび野生型マウスに多層カーボンナノチューブ(MWCNT)を経気道曝露し、肺への影響におけるNrf2の役割を調べることを目的とした。C57BL/6JJcl野生型雄マウスとNrf2-/-雄マウスに咽頭吸引法にて、Dispersion medium (DM)に分散させたNanocyl社の多層カーボンナノチューブShort、Longともに10、20μg、コントロール群にはDMを吸引させた。曝露7日後に深麻酔下で気管支肺胞洗浄を行い、回収した気管支肺胞洗浄液(BALF)中の細胞数を計測した。また、摘出した肺の重量を測定した。各遺伝子型において群間比較を行った結果、絶対肺重量、相対肺重量ともに有意差はなかった。BALF中の総細胞数は野生型のLong20μg曝露群のみコントロール群と有意差があった。炎症細胞ごとに細胞数を計数したところ、野生型でのみマクロファージ数はLong20μg曝露群で、好中球数はShort20μg曝露群で有意に増加した。病理組織学的観察を行ったところ、肺肉芽腫様変化が観察された。野生型マウスにおいてLong20μg曝露群では炎症反応が起こるが、Nrf2KOマウスでは炎症反応が減弱することが示唆された。この結果は多くの化学物質でNrf2が炎症感受性を高めるものと逆である。さらにLong曝露群でのみ有意差が出たことから、MWCNTによる炎症誘導作用にはMWCNTの長さが関与していることも示唆された。また、病理組織学的観察からMWCNTは肺に滞留し、炎症反応を誘導することが分かった。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 50.1 (0), P1-066S-, 2023
日本毒性学会